CASEマイホームを売るとき
不動産を売ったときには「所得税」と「住民税」が課税されます。
課税されるのは、売却代金から「取得費」と「譲渡費用」を差引いた残りの「譲渡益」に対してです。
CASEマイホームを買うとき
マイホームを買うときの税金
マイホームを買うときの資金に関する税金
親から住宅資金の贈与を受ける場合
住宅資金贈与の非課税制度が適用できます。
住宅取得資金贈与の相続時精算課税制度の特例が利用できます。
65歳以上の親からなら相続時精算の課税制度が利用できます。
祖父母から住宅資金の贈与を受ける場合
住宅資金贈与の非課税制度が利用できます。
配偶者から住宅資金の贈与を受ける場合
20年以上の婚姻期間の夫婦の場合配偶者からの住宅資金の贈与について配偶者特別控除が利用できます。
住宅の現物の贈与でも上記特例の適用が可能です。
10年以上の住宅ローン借入を行う場合
所得税・住民税の住宅ローン控除制度が適用できます。
住宅投資減税制度
長期優良住宅を新築する場合に、ローンがない場合でも所得税の控除が受けられる特例があります。
マイホームの増改築・改修に関する支援税制
増改築工事(適用条件があります)
自宅の増改築でも住宅ローン控除がいけられる場合があります。
バリアフリー・省エネ改修
バリアフリー内装等に改修したり、所定の省エネの改修工事を行った場合、投資減税が適用できます。
翌年の固定資産税が、3分の1減額されます。
耐震改修
住宅の耐震性を向上させるための改修工事に対する優遇税制があります。
CASE不動産に関わる税金の基礎知識
印紙税
印紙税とは、一定の「課税文書」に課税される税金です。
不動産取引においては、不動産の売買契約書、建物の建築工事請負契約書、金銭消費貸借契約書などの契約書等に対して課税されます。
税額の求め方
税額は主に契約書などに記載された金額をもとに決められた金額になります。
納税方法
原則として契約書などを作成した人が、収入印紙を契約書等に貼り付け、消印することで納付することになります。
不動産売買契約書の写しの扱い
不動産売買契約では、通常契約書を2通作り、売主・買主双方で保管することが一般的です。
この場合印紙は2枚必要になります。しかし契約書を1通だけ作り、その写しを補完することで印紙を節約しようというケースもあります。この場合気を付けたいのは、写しであっても当事者直筆の署名押印等があるなど、事実上契約書と同視されるものは、印紙が必要となる点です。あとで税務署に印紙が貼っていない事が見つかると、過怠税が徴収されることになるので注意しましょう。
契約書の印紙税額一覧表
1万円未満 | 非課税 |
---|---|
10万円以下 | 200円 |
50万円以下 | 400円 (軽減後:200円) |
100万円以下 | 1,000円 (軽減後:500円) |
200万円以下 | 2,000円 (軽減後:1,000円) |
300万円以下 | |
500万円以下 | |
1,000万円以下 | 1万円 (軽減後:5,000円) |
5,000万円以下 | 2万円 (軽減後:1万円) |
---|---|
1億円以下 | 6万円 (軽減後:3万円) |
5億円以下 | 10万円 (軽減後:6万円) |
10億円以下 | 20万円 (軽減後:16万円) |
50億円以下 | 40万円 (軽減後:32万円) |
50億円越 | 60万円 (軽減後:48万円) |
記載金額がないもの | 200円 |
居住用財産
住宅の売買に関する税務で重要なのが、居住用財産の考え方です。税務上、各種の優遇措置が受けられるからです。優遇措置の受けられる「居住用財産」とは、客観的にある程度継続して生活するために利用している住宅家屋とその敷地のことを指します。ただし、仮住まいなどといった一時的に入居した住宅や保養目的の別荘は「居住用財産」とはなりません。
税務上、居住棟の特例が適当できる居住用不動産の要件
- 個人が、主として居住の用に供している国内にある家屋とその敷地で、居住用の特例ごとに定める所有期間の用件を満たすもの。
- 個人の1の財産で居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるもの。
- 個人の1の家屋を取り壊した場合、取り壊した年の1月1日現在で特例ごとに定める保有期間の用件を満たし、取り壊しから1年以内に譲渡の契約をし、かつ居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるもの。
各種特例ごとで要件となっている居住用財産の保有期間
軽減税率・買換え特例 | 10年越 |
---|---|
居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例、特定居住用財産の損益通算・繰越控除の特例 | 5年越え |
3,000万円の特別控除 | ― |
単身赴任の場合
住宅を買った本人が、勤め先の会社などの事情により単身赴任を余儀なくされることがあります。
この場合、マイホームに本人が住んでいないことになるため、このマイホームを売却した時税務上、居住用の特例が適用できないのではないかという疑問が生じます。しかし配偶者が引き続き、その住宅に住んでおり、単身赴任や転地療法などの事情が解消したら、本人が戻ってくることがはっきりしている場合には、配偶者の住んでいる住宅には、税務上居住用の特例の適用が可能です。
一定の親族へ売却した場合
居住用と認められる不動産であっても、親子、夫婦、生計を一にする親族に売ると特例の適用はありません。ただし親族といっても兄弟なら適用できる場合があります。
居住用財産の買い替え特例
この特例は、居住用の不動産の保有期間が10年を超え、居住期間が10年以上の場合に適用できます。
売却するマイホームよりも高い金額の住宅に買換えして、住み替える場合、元のマイホームの譲渡益にかかる譲渡所得課税を先送りするという特例です。従ってこの買換えの際、譲渡所得課税等は課税されません。課税は買換え先の住宅を売るときまで先送りされることになります。
税額の求め方
- 2019年12月31日までの居住用財産の譲渡であること。
- 譲渡対価が1億円までであること。
買換え先資産の要件
- 前年の1月1日から譲渡した年の翌年の12月31日までの間に買換えすること。
- 取得する個人が居住する土地家屋であること。(借地権も含む)
- 住宅家屋の床面積は50㎡以上、土地の面積は500㎡以下、住宅家屋が中古住宅の場合は、一定の耐火建築物以外のものであるときには建築後年数が20年以内であるか、新耐震基準に適合する適合証明書又は既存住宅瑕疵保険証明書等があること。
- 耐火建築物に該当しないものである場合には、建築後年数が20年以内であるか、買換えで売る物件の売った年の年末までか、または税務署長の承認を得て買い替え期限の延長をした場合のその期限までに、耐震基準に適合することにつき照明されたものであること。
居住期間10年以上の要件
この買換え特例の適用要件になっている「居住期間10年以上」とは、必ずしも継続していなくてもよいことになっています。
従って途中で、転勤などさまざまな理由で適用対象の住宅に住んでいない期間があったとしても、合計で居住期間が10年以上になれば、この要件を満たすことになります。
手続き
この特例は、申告に当たって譲渡した土地・建物の登記事項証明書、売却した居住用不動産を管轄する住民票の写し、住民票除票の写し、売買契約書、譲渡資産の取得費や譲渡費用がわかる書類、買換え資産の取得費がわかる書類等が必要になります。
住宅の敷地の譲渡でも居住用にならない場合
居住している住宅の敷地を一部分割して売る場合、たとえば住宅を残したまま庭先の土地だけを分割して売る場合でも、分割した敷地が居住用となるかどうかが問題となります。結論から言いますとこれは居住用になりえません。ご注意下さい。
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)
住宅借入金等特別控除とは住宅ローンの年末残高の一定額までの1%相当額を10年間、所得税から控除できる制度です。
所得税から控除しきれなかった控除金額がある場合には、一定の限度で住民税から控除できます。
控除額
消費税がかかる物件(例:新築住宅、売主が法人で建物消費税がかかる場合など)
一般住宅に2019年居住の場合、最大400万円控除可
居住年 | 2014年4月1日~2021年12月31日まで | 控除期間 | 10年間 | 対象ローン限度額 | 4,000万円 (5,000万円)*注1 |
控除率 | 1% | 最高控除額 | 400万円 (500万円)*注1 |
---|
税制制度が拡充について
2019年10月1日の消費税10%への引き上げ対策として、税制制度が拡充されることが決まっています。
消費税の適用区分 | 現行 消費税率8% | 拡充後 消費税率10%* | |
---|---|---|---|
控除期間 | 10年間 | 13年間 | |
控除限度額 | 1~10年目 | 借入金年末残高(上限4,000万円)×1%(最大控除額40万円/年) | |
11~13年目 | ー | 以下のいずれか小さい額
|
消費税がかからない物件(例:個人間売買の中古物件など)
中古住宅に平成30年居住の場合、最大200万円控除可
居住年 | 2014年4月1日~2021年12月31日まで | 控除期間 | 10年間 | 対象ローン限度額 | 2,000万円 (3,000万円)*注1 |
控除率 | 1% | 最高控除額 | 200万円 (300万円)*注1 |
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消費税
消費税は国内において事業者が対価を得て事業として行う「資産の譲渡」、「役務の提供」(たとえば貸付など)と外国貨物の輸入(これを課税資産の譲渡等と言います。)にかかります。
消費税が住宅にかかる場合
不動産の売買において、土地は消費税が非課税ですが、建物は消費税の対象となります。すなわち、住宅を購入するときには建物部分は課税対象になるということです。
しかし売主が消費税の課税事業者でなければかかりません。たとえば課税事業者である不動産業者から買ったケースです。個人が自宅の売主となる場合では課税されることはありません。なお、住宅の貸付にかかる家賃には消費税はかかりません。
不動産の仲介手数料は消費税の課税対象
不動産の仲介手数料は基本的に消費税の課税対象です。不動産の仲介業者を通じて住宅を購入した際に支払う仲介手数料は、仲介業者が課税事業者であれば、消費税が課税されます。課税事業者でなければかかりません。
宅地・建物の仲介手数料について
不動産売買契約では、通常契約書を2通作り、売主・買主双方で保管することが一般的です。
この場合印紙は2枚必要になります。しかし契約書を1通だけ作り、その写しを補完することで印紙を節約しようというケースもあります。この場合気を付けたいのは、写しであっても当事者直筆の署名押印等があるなど、事実上契約書と同視されるものは、印紙が必要となる点です。あとで税務署に印紙が貼っていない事が見つかると、過怠税が徴収されることになるので注意しましょう。
売買・交換の場合
宅地建物取引業者が依頼者のそれぞれ一方から受けとることが出来る手数料は、次の金額(代理のときはその2倍、ただし代理の相手方からも受けとる場合は合計額で2倍)以内です。
取引額 | 手数料(税込) |
---|---|
200万円以下 | 取引額の5.40% |
400万円以下 | 取引額が200万以下の部分についてはその5.40% |
取引額が200万を超える部分についてはその4.32% | |
取引額が200万以下の部分についてはその5.40% |
取引額 | 手数料(税込) |
---|---|
400万円超 | 取引額が200万円を超え400万円以下の部分についてはその4.32% |
取引額が400万を超える部分についてはその3.24% |
贈与税
贈与とは、贈与する人が「あげる」と意思表示し、贈与を受ける人が「もらう」と意思表示した場合に成立するとされています。このことを基本に、贈与税は個人から財産を贈与されたとき、財産をもらった人に課税される税金(国税)です。原則的には1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除110万円を控除した残額に累進税率を乗じて求める暦年課税方式で課税されます。
暦年課税方式の場合の税額計算
贈与税の暦年課税の税率
贈与税の税率は、1原則的な税率表と、2直系尊属から贈与を受けた場合の税率表の2種類があります。父母・祖父母から資金援助を受けるなどした場合は、直系存続から贈与を受けた場合の税率表を利用して計算します。ただし1年間に直系尊属からの贈与のほか、それ以外の人からも贈与がある場合には、調整計算をすることになります。
原則
贈与税 (暦年・原則) |
税率 | 速算控除額 (万円) |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | 0 |
300万円以下 | 15% | 10 |
400万円以下 | 20% | 25 |
600万円以下 | 30% | 65 |
1,000万円以下 | 40% | 125 |
1,500万円以下 | 45% | 175 |
3,000万円以下 | 50% | 250 |
3,000万円超 | 55% | 400 |
20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合
贈与税 (暦年・原則) |
税率 | 速算控除額 (万円) |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | 0 |
400万円以下 | 15% | 10 |
600万円以下 | 20% | 30 |
1,000万円以下 | 30% | 90 |
1,500万円以下 | 40% | 190 |
3,000万円以下 | 45% | 265 |
4,500万円以下 | 50% | 415 |
4,500万円超 | 55% | 640 |
不動産などを贈与された場合の贈与税の課税金額
土地や建物などの不動産の贈与を受けた場合には、金銭価値でいくらになるかを評価する必要があります。この場合、基本的には相続税と同じ国税庁の「財産評価基本通達」に基づき評価することになります。なお、借入金と共に不動産の贈与を受けるといった負担付贈与や、対価を伴う取引で取得した土地などについて贈与税を計算するときは通常の取引価格より評価することになります。
申告・納税
財産をもらった人で、暦年課税方式による計算で税額が出た場合には、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日までの間に申告・納税をします。
相続時精算課税制度
この制度は、贈与の年の1月1日時点で60歳以上の父母・祖父母等が20歳以上の子や孫に財産を生前贈与する場合、2,500万円までは特別控除を利用することで、この金額までは贈与税がかからず、それを超える場合には一律20%の税率で贈与税が課税される制度です。特別控除2,500万円はこの枠がいっぱいになるまで何回でも利用できます。
この制度の特徴は、贈与者(父・母、祖父母等)と受贈者(子・孫世代の兄弟姉妹)各々のセット毎に適用できることです。すなわち父と母から別々に贈与を受けた場合には、それぞれ2,500万円の特別控除枠を利用することができるのです。なお、ひとたびこの制度を選択すると、相続税清算課税制度の適用を受けたセットの贈与者からの贈与については、暦年課税の計算方法に戻ることは出来なくなります。
相続時精算課税制度の適用を受ける手続き
この制度の適用をうける場合には、財産をもらった人が、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に所轄税務署に「相続時精算課税選択届出書」と申告書を提出する必要があります。この場合、贈与財産の価額が2,500万円の特別控除以内に収まって税額が出ない場合でも「相続時精算課税選択届出書」の提出と共に申告しないと適用できませんので注意しましょう。
住宅取得等資金を贈与する場合
父母・祖父母から、20歳以上の子や孫へまとまった資金を贈与する場合には、相続清算課税制度や贈与税の特例を活用すると便利です。
特例の重複適用
住宅取得等資金の贈与の非課税制度と相続時精算課税制度を重ねて利用することは可能です。たとえば平成30年中に一般住宅取得の契約締結することを前提に700万円の非課税枠と相続時精算課税制度の2,500万円特別控除枠を利用すると、3,200万円までは贈与税の負担なしに資金援助できます。
住宅取得等資金の贈与と相続税の関係
住宅資金の贈与を受けた後で、資金提供者が亡くなった場合、相続開始となります。そこで相続税の計算をする場合には、住宅資金の贈与を受けた場合に選択した特例制度により、相続財産に加算するかどうかが決まります。相続時精算課税制度やその特例を選択した場合には、すでに見たように、相続税の計算をする場合に加算することになります。一方、住宅取得等資金の贈与の非課税制度は、非課税枠までの贈与金額については加算する必要がありません。したがって、非課税制度を活用すると相続財産を減らすことにつながり、節税が可能になります。
尚、非課税制度の適用を受けなかった資金提供の金額は、相続税に加算することが必要になるケースがあります。たとえば、父母から非課税枠の金額1,000万円に加えて110万円の贈与税の基礎控除を利用して、1,110万円まで資金提供を受けた場合。贈与の段階では、1,110万円まで非課税ですが、資金提供を受けてから3年以内に資金提供者の父が亡くなった場合には、基礎控除110万円分については、相続税の計算上、相続財産に加算されることになります。
婚姻期間が20年以上の夫婦間で認められる特例
20年以上連れ添った夫婦間での贈与で認められている優遇税制として「贈与税の配偶者控除」という特例があります。これは住宅(居住用不動産)やそれを取得する金銭をもらった場合、贈与税の計算上贈与された住宅の評価額や金銭の課税価格から110万円を控除した金額から、さらに2,000万円を控除するというものです。ポイントは、もらった翌年の3月15日までに住宅に入居し「その後引き続き住み続ける見込みである場合」に限って、この「贈与税の配偶者控除」が適用される点です。お金をもらった場合には、その翌年の3月15日までに住宅を取得することが前提です。
登録免許税
住宅に係る不動産を購入した場合には、購入者が自分のものであることを示すために不動産の「登記」をします。 この場合に課税されるのが登録免許税です。
税額の求め方
税額は、不動産の価額×税率の計算式により求めます。
課税標準
不動産にかかる登録免許税の課税標準は、登記の時の価額とされています。実務上は、不動産の所有権の保存・移転登記の場合、その不動産の固定資産税評価額です。新築したばかりで住宅などに固定資産税評価額がつけられていない場合には、法務局の「新築建物課税標準価格認定基準表」をもとに登記官が認定した価額が課税標準となります。不動産の抵当権の設定登記の場合には、債権額が課税標準となります。
税率
次の通りです。所定の要件を満たす中古住宅を購入して1年以内に次の登記をする場合、以下の軽減措置が適用できます。
登記の原因 | 原則税率 | マイホーム等の特例 |
---|---|---|
1. 建物などの所有権の保存登記 | 4/1000 | 1.5/1000 |
2. 建物などの所有権の保存登記 | 20/1000 | 3/1000 |
3. 住宅ローンなどの抵当権の設定登記 | 4/1000 | 1/1000 |
4. 土地の売買による所有権の移転登記 | 20/1000 | 15/1000 |
登記の原因 | 軽減措置 |
---|---|
土地の売買による所有権移転登記 | 15/1000(2012年4月1日から2019年3月31日まで) |
不動産の相続や贈与により所有権移転登記にかかる税率
登記の原因 | 税率 |
---|---|
相続による所有権移転登記 | 4/1000 |
登記の原因 | 税率 |
---|---|
贈与による所有権移転登記 | 20/1000 |
マイホーム特例の要件
- 新築の場合
-
- 床面積が50m²以上であること(区分所有建物は内法面積)
- 新築又は取得から1年以内の登記であること
- 中古住宅の場合
-
- 木造等の場合20年以内に新築されたものであるか、または新耐震基準を満たすものであること
- 耐火建築物の場合25年以内に新築されたものであるか、または新耐震基準を満たすものであること
不動産の保有期間と税率
譲渡する不動産の保有期間によって、譲渡所得に対する税率が異なります。
保有期間5年以下なら短期、5年超なら長期とされ、税率は以下の通りです。
保有期間が短期の場合 (分離短期譲渡所得) |
所得税30%、住民税9%の税率 |
---|
保有期間が長期の場合 (分離長期譲渡所得) |
所得税15%、住民税5%の税率 |
---|
なお10年超の居住用財産の譲渡の場合は譲渡所得のうち6,000万円以下の部分に対し所得税10%、住民税4%の税率、譲渡所得のうち6,000万円超の部分に対し所得税15%、住民税5%の税率が適用されます。
譲渡益に対する課税
- 長期の場合(保有期間が5年越)
-
一般長期譲渡所得 税率20%(所得税15%・住民税5%) ※(20.315%) 10年越の移住用財産の譲渡 6,000万円以下の部分 税率14%(所得税10%・住民税4%) ※(14.21%) 6,000万円越の部分 税率20%(所得税15%・住民税5%) ※(20.315%) - 短期の場合(保有期間が5年以下)
-
短期譲渡所得 税率39%(所得税30%・住民税9%) ※(39.63%)
復興特別所得税
2013年から2037年まで復興特別所得税がかかります。税額の計算は次の通りです。
保有期間の計算方法
譲渡した不動産の保有期間は売却した年の1月1日で判断します。
例:2013年4月30日に取得した住宅(土地・建物)を2018年10月1日に譲渡した場合
自室保有期間は5年5ヶ月を超えていますが、譲渡した年の1月1日で計算すると5年未満の短期になります。
例:2012年12月30日に取得した不動産を2018年1月2日に譲渡した場合
実質保有期間は5年と3日ですが、譲渡した年の1月1日で計算すると5年越の長期となります。
相続・贈与した財産の保有期間
被相続人や贈与者が取得した日を取得の日として、保有期間を計算します。
不動産取得税
不動産取得税は、不動産の取得に課税される都道府県税です。取得の対象となった不動産の所在する都道府県が、不動産を取得した人に課税します。不動産とは、土地と家屋のことで、具体的には次の通りです。
土地 | 田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、沼地、山林、牧場、原野その他の土地 |
---|---|
家屋 | 住宅、店舗、工場、倉庫その他の建物 |
不動産の取得とは、売買や交換や新築、価値が増加する増改築のほか、有償・無償を問いませんので、不動産の贈与を受けた場合でも対象となります。不動産の相続を受けた場合は非課税となります。
税額の求め方
税額の求め方は「不動産の価格×税率」です。
課税標準
課税標準は不動産の価格ですが、これは原則的には固定資産税評価額によることとなっています。
ただし新築の建物の場合、固定資産税評価額がまだないケースがあります。このケースでは、都道府県知事が固定資産評価基準にのっとった評価額を計算して不動産取得税の課税標準とします。固定資産税評価額と異なるのは、新築の場合には経年減価が行われない点です。
免税点
取得した土地の課税標準が10万円未満の場合、新築にかかる家屋の課税標準が一戸23万円未満(その他の場合は12万円未満)の場合は不動産取得税が課税されません。
税率
税率は原則として4%です。
時限措置の特例
住宅・土地に係る税率のほか、土地に係る課税標準について次のような特例があります。
区分/適用期間・軽減措置 | 2021年3月31日まで |
---|---|
土地の課税標準 | 2分の1 |
土地・住宅の税率 | 3% |
住宅家屋の課税標準の特例
所定の要件を満たす住宅家屋を取得した場合に軽減措置があります。具体的には住宅の課税標準から採光1,200万円を控除するというものです。
所定の条件を満たす住宅とは次の通りです。
- 購入者が自分で住むための住宅であること。
- 床面積は50m²から240m²まで
取得した中古住宅である場合は次のような家屋の要件が加えられます。
- 建物は以下のA,Bのいずれかの要件を満たすこと
- 取得する中古住宅の建築日が昭和57年以降であること。
- 新耐震基準に適合していることが証明されている建物であること。既存住宅売買瑕疵保険に加入後2年以内の中古住宅も適用できます。
中古住宅の場合の控除額は建築完成時期に施工されていた控除額となります。金額は次の表の通りです。
新築年月日 | 控除額 |
---|---|
昭和28年7月1日~昭和38年12月31日 | 100万円 |
昭和39円1月1日~昭和47年12月31日 | 150万円 |
昭和48年1月1日~昭和50年12月31日 | 230万円 |
新築年月日 | 控除額 |
---|---|
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 | 350万円 |
昭和56年7月1日~平成元年3月31日 | 1,000万円 |
平成9年4月1日以降 | 1,200万円 |
耐震基準を満たさない住宅を買って耐震改修した場合の特例
耐震基準に適合しない中古住宅(耐震基準不適合既存住宅)を取得し耐震改修して自分の住まいとした場合、あらたに不動産取得税が減額される制度(耐震基準不適合既存住宅を取得した場合の不動産取得税の減額制度)があります。耐震基準不適合既存住宅とは、耐震基準に適合するものとして法令で定める既存住宅以外の住宅のこと。減額されるのは、既存住宅に適用される「住宅の課税標準の特例」で控除される金額に税率を乗じた金額です。控除金額は既存住宅が新築された際に施工されていた金額です。
住宅用土地の減額の特例
土地の減額措置は、その土地の上に建つ住宅である場合、次のいずれか多い金額を原則どおり計算して求めた不動産取得税の金額から控除します。
所定の条件を満たす住宅とは次の通りです。
- 4万5千円
- 1m²あたりの土地の固定資産税評価額×2分の1(平成33年3月31日まで)×住宅の床面積の2倍(200㎡を限度とする)×3%税率(平成33年3月31日まで)
なお、家屋の取得が先行した場合や、土地の取得が先行した場合でも一定の範囲で、この特例が利用できます。主なケースは次の通りです。
- 土地を取得した日から3年以内にその土地に住宅家屋を新築した場合
- 敷地を取得してから1年以内に敷地の上の既存の住宅家屋を取得した場合(平成30年4月1日以後は、取得する住宅が耐震不適合既存住宅である場合には、取得から6ヶ月以内に改修により耐震基準に適合することの証明を受けた場合も含む)
- 借地で住宅家屋を新築又は取得してから1年以内に敷地を取得した場合(平成30年4月1日以後は、取得する住宅が耐震不適合既存住宅である場合には、取得から6ヶ月以内に改修により耐震基準に適合することの証明を受けた場合も含む)
納め方
不動産を取得した人は福井県の不動産取得税担当部署に不動産を取得したことを申告する必要があります。それに基づき、福井県が不動産取得税を課税し納税者に対し納税通知書を送付してきますので、福井県の条例で定められた時期までに現金で納めるのが通常です。
なお、住宅家屋の課税標準の特例や土地の税額軽減措置を受けるためには、福井県の条例の定める期限までに福井県税務事務所に対し、必要書類を添付のうえ、所定の申告書を提出することが必要です。また、耐震基準を満たさない住宅を買って耐震改修した場合の特例を受けることを前提として耐震改修を行う場合や、住宅用土地の減額を受けるため期限内に建物を取得する予定でまだ建物を取得していない場合には、徴収猶予の申請をする必要があります。
3,000万円の特別控除
居住用財産(マイホームのように住むことを目的とする不動産のこと)を譲渡して得た譲渡所得から3,000万円を控除する特例のことです。
居住用財産の保有期間を問わず適用できます。譲渡益が3,000万円に満たない場合は、その金額までの控除となり、税額は0となります。譲渡益が3,000万円を超える場合には、越える金額に対して、短期譲渡所得(所有期間が5年以下で税率は39.63%)または長期譲渡所得(所有期間が5年超で税率は20.315%)などの税率を適用することになります。
なお、この特例は前年、前々年に3,000万円の特別控除や居住用の買換え特例、居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例を受けていないことが適用の前提条件になります。3,000万円の特別控除は3年に一度しか適用できない仕組みです。
ただし、10年超保有の居住用不動産に対する軽減税率は、重複して適用が可能です。
又、店舗付き住宅の場合は、居住用部分と店舗用部分の利用面積の比率によって按分され、居住用部分についてのみ、3,000万円の特別控除がうけられます。
手続き
この特例は、マイホームを譲渡した翌年2月16日から3月15日までの確定申告時期に、この特例を受ける旨の申告をする必要があります。
特に3,000万円の特別控除を適用して計算した結果、税額が0になったとしても申告することが適用を認めてもらえる前提条件になっています。うっかり忘れたりして申告をしないと、この特例の適用は認めてくれませんので、十分注意が必要です。申告にあたっては、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)と譲渡の日から2ヶ月経過後に譲渡資産所在地の市町村長が発行した譲渡者の住民票の写しが必ず必要になります。なお次の書類は必ずしも必要ではありませんが、手続きをスムーズにする為もし手元にあればコピーを準備しておきます。
注意点
空き家にした後、譲渡する場合
マイホームが実際に「居住用財産」かどうかは、実態で判断されます。たとえば、これから入所する老人ホームが終身利用できる契約で生活の場となっている一方、マイホームの方は空き家ですが、いつでも帰る事が出来るようにしてあったとしても、実態として生していないのであれば、税務署は「居住用財産」として認めてくれません。
ただし、病気の転地療法などで一時的に空き家になっており、病気が治れば必ず戻ってくると認められるケースでは、マイホームを空けたとしても「居住用財産」と認められます。
なお、居住しなくなってから。3年目の年末を経過してから、マイホームを売却することになると、もはや3,000万円の特別控除などの税務上、居住用の特例を利用することはできません。
したがって、マイホームを空き家にする場合には、先々手放す場合を考えておくことが必要です。
人に貸していた居住用財産を譲渡する場合
マイホームは、人に貸したとしても所有者が住まなくなってから3年目の年末の経過後に譲渡すると、譲渡所得税の特例である「3,000万円の特別控除」をはじめ、居住用の不動産を売った場合の特例が利用できなくなります。逆にそのときまでに売れば居住用の特例が適用できます。このため、契約上立退き問題が起こらない様にするとともに、居住用の不動産を売った場合の譲渡所得税の特例が利用できるように借家契約を2年から3年の「定期借家契約」で締結するなど工夫が必要でしょう。
居住用財産の家屋を取り壊して譲渡する場合
マイホームを取り壊した場合には、1年以内に売買契約をすることを条件に、住まなくなってから3年目の年末までに引渡しをすれば、マイホームの敷地の売却でも居住用の特例が利用できます。
ただし、空き家の場合と異なり、この敷地は人に貸すと居住用の特例が適用できなくなります。十分注意してください。
それから、買換え特例や軽減税率を適用する場合にはマイホームを取り壊した都市の1月1日時点で保有期間が10年超であること、買換えの場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除や特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除を適用する場合には、マイホームを取り壊した年の1月1日時点で保有期間が5年超であることが条件になります。この点もご注意下さい。
相続で所有者になった マイホームの譲渡
たとえば夫が亡くなったため、妻が夫婦で以前に住んでいた夫名義の住宅で、現在は空き家になっている住宅を譲渡する場合、この「居住用財産」の特例は適用できません。「居住用財産」かどうかは所有者として居住していることが前提だからです。保有期間は相続により取得の日を引き継ぎますので、長期保有となる可能性があるので、税率は長期の税率となる可能性があります。
空き家の実家売却で税制優遇
一人住まいの親が亡くなって空き家になった実家を相続人が売る場合に適用できる優遇税制「空き家にかかる譲渡所得の特別控除の特例」(以下空き家特例といいます。)が新設されました。
その内容は、空き家の実家を譲渡したとき、所定の要件を満たす場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除するというものです。
10年超所有の場合の軽減税率との併用
10年超所有の場合の軽減税率は、売却した年の1月1日時点の保有期間が10年を超えるマイホームの譲渡益のうち6,000万円までについては所得税10.21%、住民税4%の合計14.21%の税率が適用できるというものです。6,000万円を超える譲渡益に対しては所得税・住民税合わせて20.315%の税率が適用されます。(共に復興特別所得税も含む。)
3,000万円の特別控除はこの軽減税率と重複して適用できるため、売却時の収入金額から、取得費と譲渡費用を控除して求めた譲渡所得から3,000万円(空き家特例ではない方です)を控除でき、課税対象となる譲渡益自体を少なくすることができます。