賃貸物件などの不動産を複数所有するオーナーさんにとって、相続に備えることは大切です。「備えるといっても何から始めたらいいかわからない」というときは、まず遺言書について考えてみるといいでしょう。事前に作成しておくことで、残された家族も安心でき、円満相続を実現する一手となります。
相続トラブルの大半は
遺言書のない場合に発生
「相続トラブルの大半は遺言書のない場合に起きます」と話すのは、弁護士法人一新総合法律事務所東京事務所(東京都中央区)の大橋良二弁護士です。
大橋弁護士は、遺言書を書かずに亡くなった男性の妻と子どもたちの間で相続不動産の分配について折り合いがつかず、5年間争ったというケースを担当したことがありました。
計画性のある相続であれば、工夫もできたでしょうが、争いとなると、各人が自分の取り分を主張する目先の利益に突き動かされてしまいます。「結果的に節税対策もできず、5年分の弁護士費用もかかり、無駄の多い相続になってしまいました」(大橋弁護士)
オーナーさんの中には、「うちは子どもたちは仲がいいから争族になることはない」と楽観視している人もいるかもしれません。しかし、それは「父親や祖父といった『重し』の存在があるから」と大橋弁護士は話します。その重しがなくなったとき、子どもたちの積年の思いが一気に噴き出し、争いが起きてしまうといいます。
経営の方向性について自分の思いも伝えておく
遺言書を作成しようと思ったとき、まずはその種類について知っておきましょう。
遣言書には、①自筆証書遺言②公正証書遺言③秘密証書遣言の3種類があります。その中で、主に利用されるのは①自筆証書遺言と②公正証書遣言です。
自筆証書遺言は自分自身で書いて保管しておくため、費用を掛けずに作成でき、いつでも書き換え可能です。公正証書遺言は、弁護士など法曹資格を持つ公証人が内容を聞いて作成します。原本は公証役場に保管されるため、変造や偽造の心配はありません。
慌てて作成すると不備が起こることもあるので、「自分はまだまだ大丈夫」と思わず、余裕を持って準備しておくといいようです。
遺言書を作成する際は、相続人となる妻や子どもたちと事前に話し合っておくこともとても大事です。相続の方向性について、ある程度明らかにしておくとリスクを減らすことができます。次の世代に経営をどう引き継いでもらいたいのかを含め、自分の思いを伝えておくといいでしょう。
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