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賃貸経営に必須の火災保険の特約を解説

 2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震を受けて、多くの方が災害の恐ろしさ・日本の地震の多さを再認識されたことと思います。加えて、災害対策の基本となる「火災保険」の保険料は、今年10月に過去最大級の引き上げ幅で値上げが予定されています。この機会に契約内容を見直し、保険の適正化を図ってみてはいかがでしょうか。

適切な「特約」で火災保険を適正化

 火災保険を見直すにあたり、基本かつ重要なポイントが「特約」です。見直しを実施すると、加入すべき特約に入っていなかったり、必要ない特約に入っていたり、というケースが意外なほど多く見つかります。中でも「水災補償」と「風災補償」は、付帯の過不足が起こりやすい代表的な特約です。

水災補償】荒天に伴う洪水・高潮・土砂崩れ等を原因とする建物の損害を補償。一般に「床上または地盤面から45cm超の浸水」もしくは「建物の再調達価額の30%以上の損害」を被った場合のみ補償されます。

風災補償】荒天に伴う突風・竜巻、暴風による飛来物等を原因とする建物の損害を補償。多くは雹災・雪災がセット。自己負担分を設定すると保険料が下がります。

 洪水等の水害は恐ろしい災害ですが、その被災範囲は地形等から予測可能であり、詳細は各自治体の作成するハザードマップで確認できます。被災リスクの高い地域にあるにもかかわらず水災補償を付帯していない物件は、早急にプランの変更を検討するべきでしょう。
 また、水災補償は床上浸水など相当の被害が出ない限り機能しない特約です。被害のおそれがない・軽微な被害で済むエリアでは、付帯の必要性が大きく下がります。一方、台風や竜巻、雹、大雪の被害は全国の大半の地域で発生し得るものであり、これらによって屋根・壁・窓が破損する確率は、浸水被害を受けるよりも高いことが多いはずです。
 少なくとも、「浸水地域でもないのに水災補償の費用を払っていて、風災補償はついていない」など“保険料の無駄払い”ともいえる状態は避けたいものです。

賃貸経営ならではのリスクをカバーする特約

 火災保険で備えられる「賃貸経営の危機」は、災害だけではありません。特約をうまく活用すれば、火災保険で次のようなリスクを担保できます。

施設賠償責任特約】建物の不備等で入居者・他人に損害を与えた場合に補償される特約。階段の崩落事故を代表例に、建物の欠陥や老朽化が第三者の身体・生命を脅かす可能性はゼロではありません。賃貸物件という不特定多数の人間が出入りする建物を経営するなら加入必須の特約です。

家賃補償特約】建物が災害や設備の故障によって居住できなくなり、復旧までに家賃収入の損失が発生した場合、それを補償する特約。収入の補填・ローン返済対策に有効です。

【家主費用特約(孤独死保険)】物件内で孤独死・自殺等の死亡事故が発生した場合に、原状回復や残置物処理、賃料損失等を補償する特約。付帯の要否は経営戦略次第ですが、入居者本人が契約する孤独死保険と並行して検討を。

 そしてもうひとつ、賃貸経営をするうえで入っておきたいのが「地震保険」です。
 地震保険は、火災保険に付帯する形でしか加入できない震災専用の保険。「火災保険の半額しか出ないのに保険料は高いから」と加入しない方もいますが、過去の事例からも分かる通り、大地震は一瞬で何もかもを破壊してしまう恐ろしい災害です。
 住む家もなくなり、賃料収入もなくなってしまったとき、「生活再建」を目的とした地震保険の保険金は、建物の再建はできないとしても、被災後の生活の大きな助けとなるはずです。地震保険の付帯率は、2022年時点で69.4%。未加入の方は、ぜひこの機会に付帯をご検討ください。

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